pH assay kit ver.2 - 総硬度測定試薬キット -(淡水用)
商品概要
Product summary
用途:pHの測定
測定可能範囲:pH 5.4〜7.8程度
使用可能回数:約60回
箱の大きさ:横 17 cm、高さ 4 cm、奥行き 4.5 cm
発送:定形外郵便でも発送可能
同梱物:
・pH測定試薬
・試験管
・コルク栓
・スポイト
・色見本紙
・マニュアル
販売価格:800円(税込)
商品の詳細
Product details
この商品は水槽内の水のpH(ペーハー)を測るための試薬キットです。

このキットで実際に測定した結果の例を上の写真で示しました。
(上の写真はあくまでも写真であり、パソコンモニターの違いなどにより実際の色と異なる場合がありますので、実際の測定においては、キットに付属の色見本紙と比較しpHを決定してください。)
pHとは
pHとは、液体の酸性度、あるいはアルカリ性度を示す値です。
純粋な水のpHは7.0を示します。
pHが7の液体(あるいは7に近い液体)を「中性」、7よりも低い液体を「酸性」、7よりも高い液体を「アルカリ性」といいます。
淡水の熱帯魚および水草の飼育に置いては、pH 6〜8程度が適していると言われています。
魚や水草にとっては元々住んでいた環境と同じpHであるほうがより繁殖のしやすさや体色の美しさが現れる場合が多いです。また長生きもしてくれるかもしれません。それぞれの生体や水草により好みがありますので、その辺りはご自分で調べてみるか、あるいは生体等を購入したショップの方に聞いてみるのがよいでしょう。
ただ、実際にはpH 6〜8程度の範囲であれば生存にはほとんど問題ありません。
pHに関して、最も気を付けなければいけないのは、生体を急激なpHの変化にさらすことです。例えば、飼育水に対して、突然pHの異なる水で大量に水替えをおこなったり、あるいはショップで購入してきた生体をいきなりpHの異なる水槽内に移したりすることです。
そのような急激なpHの変化に生体をさらすと、pHショックと呼ばれる現象で生体が短時間あるいは症状が出ていないようでも数日間のうちに死に至ってしまう場合もあります。
そのようなことにならないために、生体のおかれた環境を変える場合は、慎重に元々いた環境の水と移動先(または交換先)の水とを少量ずつ時間をかけて混合していき、急激なpHの変化を起こさないようにします。
またこの時、双方のpHを測定しておくと、水合わせの目安になるでしょう。
ただし、pHが双方で同じだったからといってすぐに急激に混ぜてよいということにはなりません。その場合も双方の水の中に含まれる様々な物質の量は異なるので、いずれの場合も慎重に水合わせをおこなうべきです。
また、普段から自分の家の水道水のpHを知っておくと、水替えの時、あるいは自分が求めるpHの環境を作る時によい指標となるでしょう。
よりpHに関する詳しい情報をここの下の方の「より詳しく」という項目部分に記載しましたのでそちらもぜひご覧ください。
試薬
本試薬は、様々な試行の結果、最も見やすい濃さになるように調製してあります。
薄すぎてもわかりにくいですし、逆に濃すぎても微妙な差がわかりにくくなりますので、最適と思われる濃さにしてあります。

上の写真はある他社製品と比較した結果です(他社製品はマニュアル通りの滴数を加えてあります)。
この写真のように、実際には一般的に市販されている他社のpH試薬よりも濃く、微妙なpHの違いもわかりやすいものになっています。
また、1回の使用量も3滴と、少なくてもハッキリと色が出るようにしてあり、使用量が少なくて済むことから同液量でも使用可能回数が増やせられるようにしました。約60回程度はご使用いただける量が入っています。
色見本紙

pHの実際の測定値を判定するための色見本紙は、pH 0.2間隔で、pH 5.4〜7.8まで表示してあります。
0.2間隔ですので、より詳細な判定ができます。
また、色見本紙はラミネート加工を施し、防水性を持たせてあるので、測定中にうっかり水をこぼしてしまっても色見本紙が使えなくなってしまうことがありません。
試薬キットの箱

試薬キットの箱は黒く、かつシンプルにしてあり、水槽の周辺に置いても浮くことがないようにしました。
箱の強度もできるだけ強く、そして開けやすいスライド式のものにしました。
実際のところ、箱のフタは通常の上に開くような一体型のものの方がはるかに製作コストが抑えられるのですが、妥協はしておりません。
長く使い続けてもらうものだからこそ、使いやすく、丈夫に。
シンプルですが、箱に関しては最もこだわった点の一つとなっています。
試薬容器

試薬類は光に弱いものが多くあります。ですから、容器としては完全に遮光できる中身が全く見えない不透明タイプのものが、試薬にとってはベストと言えます。
しかしながら、それですと全く残量が見えないという不便さもあります。重さから残量がわかる方はそれほどいないでしょう。
そこで、試薬容器には遮光性も持たせつつ、中身もある程度見える容器を採用しました。
これで突然、残りがなくなってしまい困ることも少なくなるのではないでしょうか。
ただし、やはりしまう時は箱に入れ、光が当たらない環境に置くことを強くお勧めます。
試験管

測定用の容器としては試験管を採用しました。これはより測定を楽しんでいただけるようにという思いからです。
水質測定は紛れもない化学実験です。実験気分を味わっていただければ幸いです。
また、インテリアとしてもお部屋の片隅に置いてもらえればうれしく思います。
試験管には測定の時に目安となる5mlの線を印しておきましたが、これはあくまでも目安にすぎず、また強く洗うと取れるようにしてあります。インテリアとして不用な際は洗い落としてください。正確な量は下記のスポイトで測り取ることでわかります(スポイトの方がはるかに正確な量が取れます)。
試験管には、実際の実験現場で最もよく使われるJIS規格の15cm試験管を採用しております。
スポイト
キットに付属のスポイトは1回に1ml(ミリリットル)が測り取れるようになっています。
測定には5mlの水が必要なので、このスポイトで5回測り取ることになります。
マニュアル

マニュアルはできるだけわかりやすく、図解で使用方法を解説してあります。
また、基本的な情報もできる限り多く書き込みました。
熱帯魚を飼い始めたばかりの初心者の方や、試薬測定をしたことがない方にも問題なく使用していただけるようにしたつもりですが、もしわからないことがありましたらお気軽に
「お問い合わせ」からご相談ください。
緩衝剤

キットの箱の中に入っている緩衝材についてもこだわりました。
緩衝材は地球に優しい、原料がコーンスターチ(トウモロコシ)を主成分としたものを使っています。
燃やしても有毒ガスが発生せず、また土壌に自然に返るものです。
熱帯魚を飼うなら自然のことも考えないと。
aquamind laboratoryは少しでも省資源で地球に優しいものを開発していきたいと考えております。
より詳しく
ここではより詳しくpHについて解説いたします。
少々小難しい部分もあるかもしれませんが、全てを知っておく必要はありません。ただ、知っておいて損はないことだとは思います。
そういう話もあるという程度で頭の片隅にでも置いておいていただければ幸いです。
pHは水溶液中の水素イオン(H
+)の濃度がどれぐらいあるかという指標となる値です。
水素イオンが多いほど酸性、水素イオンが少ないほどアルカリ性と言えます。
例えば、非常に強い酸性として知られる塩酸は、化学式がHClと表され、水中では、ほとんどがH
+とCl
-に分かれます。
このことからも塩酸濃度が高ければ高いほど水素イオンの量が増え、すなわち酸性になることがおわかりいただけると思います。
pHの値は概念的に以下の式から計算されます。
化学をやっていた方なら知っているかもしれませんが、式を見るのも嫌という方もいるかもしれませんので、簡単に。
[ H
+ ]の部分は水素イオン濃度が入ります。
この濃度はモル濃度という単位で、1リットル中に6.02 x 10
23個というイオンの数がある時を1モルと定義したもので表されます。
水素イオンの場合、1モルは約1g(グラム)です。
pH 7の純粋な水の場合、水素イオン濃度は1 x 10
-7モル、つまり0.0000001モル、水素イオンの数で言うと1リットル中に6.02 x 10
16個存在する状態になっています。
水素イオンの数を絵で表すと、ある場所の水素イオンの数をみると、pH 6、pH 7、pH8の場合、下のようになっています。

このようにpHが1違うだけで、水素イオンの数は実際の数では10倍違います。
ここまで化学の話を書いてきましたが、何が言いたいかというと、pHが1違うだけでこんなに環境が違うと言うことがお伝えしたかったのです。
上の図を見ると、pH 8の環境からpH 6の環境へ突然魚が移された時に、どれほど急激な環境の変化にさらされているのかがわかりやすいかと思います。
ですので、水合わせは慎重な上にも慎重におこなうことが非常に大切です。
ちなみに、上の話は概念上の話であって、実は実際は水素イオン濃度からpHが決定されているわけではありません。というのは、水素イオン濃度を直接測ることは極めて難しいからです。
実際はガラス電極を使ったpHメーターで、どれぐらい電力が発生したかで測定しています。ただ、その値は、上の水素イオン濃度に極めて近くなるように計算式が作られているので、概念的には上の水素イオン濃度から導き出されていると考えてもそれほど問題ありません。
溶液の種類や状態によっては、水素イオン濃度から計算されるpHとpHメーターでのpHが異なる場合もあります。その場合は、pHメーターでの値が採用されます。
詳しくは書きませんが、pHメーターでpHを計算する式は下のように定義されています。もっと詳しく知りたい方はぜひ調べてみてください。
また、pHは温度によっても変わります。温度が上がるとpHは逆に下がっていきます。ただ、熱帯魚飼育の場合は、温度変化は20度から30度の範囲内でしょうから、その間でのpHの温度による変化はせいぜい0.1程度です。
正確を期す場合は、pHメーターでの標準液を用いた校正を、測定する溶液の温度と同一にしておこなう必要があります。
さて、ここで簡単にpH試薬の色の変化についても書いておきます。
化学物質の中にはpHによって構造が変わり、それによって見た目の色が変わるものが少なからずあります。
身近なものでは紫キャベツやシソの紫色の色素であるアントシアニンなどもそうです。
あの紫色は酸性側に近づくほど紫色が濃くなり、中性付近では無色、アルカリ性になると黄緑や黄色に変化します。
アルカリ性の飼育水をお持ちの場合は、紫キャベツから出た紫色の液体と、飼育水の一部を取り出して混ぜてみると、色の変化が見られるでしょう。
このようなpHによって色が変化する物質は、その種類によって、色が変化するpHの値や、その色自体に大きな違いがあります。
ですので、測定したい溶液のpH付近で色が変化する物質を選択して指標とします。
aquamind laboratoryのpH assay kitの試薬にもpH 5程度からpH 8程度までの間で色が変化する物質が含まれています。
色が変化する反応を呈色(ていしょく)反応といいます。
呈色反応はアナログ的なものですが、最適な物質を用いるとpHメーターに近い精度でpHを測定することが可能です。
むしろ、正確に校正されていないpHメーターを用いるより正確な場合もあるでしょう。
気軽にpHが調べられることから、今でも様々な現場で呈色反応によるpH試験が行われています。

(パソコンモニターの違いにより実際の色と異なる場合があります)
最後にpHが7から大きくずれていた場合の対処法などについて書きます。
この辺りに関しては熟練のアクアリストの方のほうが詳しいかもしれませんが、最も簡単でかつ効果的な対処法は水替えをおこなうことです。
日本の水道水のpHはほとんどの地域で、pH 6.5〜8.0程度です。
日本の水道水はpH 5.8〜8.6の範囲であることが定められています。
自宅の水道水がpH 7前後である場合は、水槽水の1/3〜1/2の水替えをおこなうことで水道水に近い値にもっていけるでしょう。ただし、その場合も水替えはゆっくりと徐々におこない、急激な変化を起こさないように気を付けます。
pHを変化させる要因としては、餌の食べ残しや排泄物の酸化・硝酸塩化による酸性化、ソイル等による酸性化、大磯や珊瑚などカルシウム分を多く含む物質によるアルカリ化、などがあります。他にもCO
2を添加していると酸性方向に偏りやすくなります。
炭酸塩硬度(KH)とpHには密接な関係がありますが、それは別の機会に書くこととし詳細は省略します。
水草やアジア・アマゾン由来の魚は弱酸性を好むものが多いですが、アルカリ性を好む魚もいるので、必ずしも弱酸性がよいとも言えません。
pHがアルカリ性に傾く(pHが高くなる)と水草の生長が悪くなるものが多く、その場合コケが発生しやすくなります。
また、アルカリ性に傾くほど、アンモニウムイオンが毒性の強いアンモニアに変化しやすくなるので、アンモニア濃度の高い水槽内ではアルカリ性に傾かせることは危険です。
pHを変化させる方法としては、上記のCO
2を添加したり、ソイルや底砂、水槽内のカルシウム分を放出するものの増減、などの他に、ピートと呼ばれる、川の底に沈む枯葉や流木などから染み出る腐食酸やタンニンを主成分としたもので酸性化させる方法もあります。ただし、このピートは水を茶色くするので好みが分かれるところでしょう。
他にも市販品のpHを上昇させたり下降させたりする添加剤を用いる方法もあります。
ただし、どこまでpHを人為的に操る必要があるのか、という問題もあります。
普段から水槽内の環境を一定にする目的で底砂やCO
2などを整えておくのはいいでしょうが、生体が元気で、死んでしまう個体なども全然いないような時に無理にpHをいじる必要は必ずしもあるわけではないと思われます。
どうしても生体や水草の調子が悪い期間が続くという場合にそのような添加剤の添加も選択肢に入れるという程度でよいのではないかとも考えられます。
添加した時だけpHが変化し、またすぐに戻るということにより、逆にpHの変化に生体をさらして負荷をかけたりする危険性や、pH降下剤の中にはリン酸(酸性物質として)を多く含むものもあることからコケの発生につながる可能性もなくはないでしょう。
いずれにせよ、pHの場合でも、生体にとって何が一番よいことなのか、を第一に考えて行動してあげるのがよいでしょう。